春先は物事のスタートで活気づく半面、うつ病を発症する人も多い季節です。
私がうつ状態になって休職したのも春でした。
もう出勤しなくていいことにホッとした反面、罪悪感に包まれて、先のこと、つまりは転職や退職のことを考えずにいられませんでした。
今思えばその思考自体がうつ病の特徴なんです。
今回はその時の体験談を書いてみます。
出勤しなくていい安心感・同じくらいの罪悪感
うつのきっかけは職場の異動
私がうつ状態に陥ったのは、春先の定期の異動の時です。
以前からの自分の希望が叶った異動だったので、本来は落ち込む理由なんてなかったはずでした。
ただ、家庭的な悩み事は抱えておりそれが自覚している以上に負担になっていて、新しい環境での仕事のプレッシャーと重なってしまったのかもしれません。
前向きになって気持ちを持ち上げるのに、かなり無理をしていたのだろうと思います。
新しい仕事といってももちろん看護師だし、職場内の異動なのでそんなに力まなくていいのに、焦りがありました。
多分、自分が望んでいた部署だったのでちゃんとできなければいけないと思っていたのでしょう。
覚えられないことは、自分が至らないのだと自己嫌悪に陥りました。
そんなに焦ることもないし、別に覚えが遅いわけでもなかったと思います。
でも、それまでのようにサクサクと仕事をこなせない日々に勝手に追い詰められ、涙があふれるのです。
そして、異動したことを後悔しました。
私自身がというより、こんな私なんか誰も歓迎してない、異動してきたことで迷惑をかけている、という申し訳なさなのです。
日に日に、私がみんなに迷惑をかけているという思いが強く、出勤することもできなくなりました。
でも、休むにも理由が必要です。
休みの連絡をするのもハードルが高く、それを考えて眠れない日が続きます。
自分で精神科クリニックを受診
何とか、気持ちを持ち上げなければならない、そう思って自分で精神科クリニックに行きました。
何とか仕事に行けるようにしてもらわなければとここでも焦っていました。
看護師なので、地元のメンタルクリニックの口コミなどはいくつかは知っているし、精神科も規模が種類が違ったり都合のいい病院はどれかなど、ある程度、自分で選ぶことができます。
それが正しいかどうかは別としてです。
初めて行くクリニック、初めて会う医師と向き合って、最初は仕事のことなど冷静に話していたのです。
でも、話しているうちに脱線してきて、「自分はダメ人間だ。私は迷惑な存在だ。もう消えてしまいたい。」など、何故か延々と訴えながら涙が止まらなくなりました。
私は、何かを泣きながら話すほど自分が追い詰められている自覚はなかったのです。
年配の医師は、ただ親身に話を聞いてくれました。
とても優しくて静かな医師で、聞いてもらえるという安心感がありました。
私はしばらく休職することになり、医師は診断書を書いてくれました。
これでこの苦しさから逃げられる・・・・。
ほっとして、同時に不安が押し寄せて来ました。
私は、体を壊しているわけでもないし、人と話もできます。
クリニックも自分で受診するなど、しっかりしています。
そんな私が、気持ちの問題だけで診断書を出して休もうとしているのは、ずる休みなのではないか?
内心ほっとしているなんて、やっぱり嘘つきなのではないか?
異動してきたばかりでこんなことをすると、変な人のレッテルが貼られて今後がもっと辛くならないか?
そんなことが頭に浮かび、罪悪感に包まれました。
とりあえず、職場の責任者に電話をして休職のことを伝え、診断書は郵送でもよいとのことだったのでそうすることにしました。
休職期間はとりあえず3週間。
陰では何を言われているかわかりません。
家にいても誰かに責められそうで、息をひそめて過ごしていました。
いっそ退職したい・転職する勇気がない
唯一、翌日の出勤を考えなくてよくなったので、眠れなくてもそれほど焦らなくてよくなりました。
何かに追い立てられる不安はなくなりました。
だけど、これも永遠ではないのです。
そんなに休んではいけなかったのに・・・。
私は働けたのに・・・。
そういう葛藤は常にあり、休職も半ばを過ぎると、休みが終わる日のことばかり考えるようになります。
自分はこのことでどう評価されるのだろうか?
そんなことばかりが気になりました。
戻るのが気まずいので、このまま退職しようかと何度も考えました。
でも、どこかに転職する勇気はありません。
こんな私なのに、どこに需要があるでしょう?
退職したいけど、転職に対する積極的な気持ちにはなれず、ただ不安でした。
ちなみに、うつ病で休職中は、退職を早まることなく現状維持しておいた方がよいと医師は言います。
うつに陥っている時は思考も狭くなり、混乱しているので、重要なことを決定するのは避けた方が良いというのが、一般的な対処法です。
早まって退職してしまうと、転職の問題や経済的不安など、他に考えなければならないことが新たに加わってくるからです。
私は、予定通りに休職を終えて復職しました。
でも、さすがに気は重かったものの、思ったよりもスムーズに戻ることができました。
この休職は、少し余裕を持つことができて結果的に良かったです。
不安もありましたが、越えられないことはなく、私には休職そのものもですが、精神科医にぶちまけて話せたことが自分を少し楽にしたのだと思います。
頭の休息と整理が必要
この間に睡眠導入剤以外は特に内服もしていません。
看護師は、不規則な勤務ですし睡眠調整も必要なので、普段から睡眠薬を使っている人も多いです。
私も睡眠薬には慣れていました。
精神科クリニックでは睡眠薬と抗不安薬も処方されましたが、抗不安薬の方は使いませんでした。
薬は悩みを解決はしてくれませんが、睡眠などのリズムをコントロールして脳を強制的に休ませてくれます。
うつ状態の時の思考回路はずいぶん変になっているのですが、自分の脳なので自分ではわかりません。
とにかく寝て落ち着いて、頭の中を整理することが必要です。
重度のうつ病になると、会話が不可能なこともあります。
そういう病状に対しては抗うつ薬が奏功することも結構あります。
精神科勤務をしていた時に、そんな患者さんを多く見て来たので「精神科に薬は必要ない」と思いません。
薬は、その時の症状に必要なものを上手に使えばよいだけと思います。
まとめ
うつ病で休職すると、休んでいる自分に焦りや罪悪感があり、いたたまれなくなって退職をしてしまう人も多いと思います。
でも退職や転職も大きな環境の変化になります。
とりあえず休職期間は焦らず、静かに現状維持して嵐が去るまで待つ方がいいですよ。
結論を急がずに今できることだけをやって、ゆっくり休んでください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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