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医師や患者からのセクハラに看護師はどう対処すべき?

看護師
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現代は、セクハラという言葉も日常的に使われるようになりました。

少し前の話になりますが、千葉県で看護師にセクハラした医師が処分される事件(2018年)がありました。

誤解を恐れずに言うなら、看護師は職業柄、人との接触の機会が多く、セクハラやパワハラにさらされやすい立場にあり、その相手は患者ということもあります。

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医師が看護師にセクハラして懲戒処分に

2018年3月、千葉県の病院勤務の30代男性医師が、女性看護師に対するセクハラ行為で停職1ヶ月の懲戒処分を受けたことが公表されました。

男性医師はその後に依願退職しました。

セクハラの経緯は、男性医師が同僚医師や看護師と飲み会を開き、店外で女性看護師の身体を強引に触り、それを女性看護師が上司に相談したことで発覚しました。

男性医師は深く反省しているそうです。

 

この事件を知り、正直なところ「そんなことで医師が処分?」というのが私の感想でした。

飲み会の席でのこのようなことは私も経験があります。

昔、泥酔した医師とタクシーに同乗し、車内で思いきり体を触られました。

私より若い医師で、普段からも仲間として普通に仲良くしていたので、「先生ホント酒癖悪い!!」と叱咤して、みんなの笑い話にして終わりました。

今と昔ではそれほど感覚のずれがあるのだと感じます。

 

その医師と看護師の関係性がわからないし、状況がわかりませんので、もちろん私と同じではありません。

上司に相談したとあるので、この女性看護師にとっては本当に不愉快かつ恐怖だったのでしょう。

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セクハラ=性的嫌がらせ・男女どちらにも適用される

セクハラの定義について整理してみます。

法務省の資料によると、日本で初めてセクハラ問題での民事裁判が行われたのは1989年とのこと。

この年に「セクシュアルハラスメント」は流行語大賞の新語部門金賞を受賞しています。

1997年男女雇用均等法が改正され、女性に対する差別、セクハラの法規定がなされました。

2007年にはさらに改正によってセクハラ規定の範囲が男性にも適用になりました。

つまり、セクハラは、男性から女性に対するものだけではなくその逆もあり、男女にかかわりなく性の差別的な扱いが禁止されることになりました。

参考:法務省人権擁護局企画 https://www.jinken-library.jp/wp-content/uploads/2019/01/kigyoukenshu1.pdf

セクハラの2つのパターン

【対価型】

職務上の地位を利用して性的な強要をし、拒否した人に対し、減給、解雇、降格、異動などの不利益を与える行為。

【環境型】

性的関係の要求はなくても性的な言動などでそこで働く人を不快にさせる行為。

まず、体を触るなどの行為は、強引に行えば犯罪であり、セクハラにとどまらなくなります。

また、セクハラに該当するのかは受けた相手の受け止め方次第ですが、相手が嫌がっていなかったとしても、それを見ている周りが不愉快であればセクハラを認められることがあります。

セクハラを行っている本人は、実は悪意のない普通の会話のつもりかもしれません。

しかし、相手がそれをどのように受け止めるかということが問題なので、それまでは我慢したけど限界を超えた、と急速にセクハラ問題に発展する可能性はあります。

そして事業主はセクハラへの対策をしなければならないという法的義務があります。

具体的なセクハラ行為

  • 体に直接触る行為。
  • 胸やお尻の身体的な特徴など体に関する性的発言。
  • 異性関係、性生活などプライベートの性的な話題に踏み込む発言。
  • 性的な写真、画像、動画などを持ち込んで人目に触れさせる行為。
  • 嫌がる相手に職務上の立場を利用してデートを強要する。
  • 性的な風評を流す行為。
  • 「女(男)のくせに」などの性別による表現。
  • 周囲が不快に感じるような露出の多い服装や性的アピール。

以上はすべてセクハラに該当します。

看護師はセクハラを受けやすい環境にある

看護師の悩みの中に「セクハラ」も挙がっています。

それは決して珍しいことではなく、深刻な悩みになっている例も多いようです。

看護師は、仕事上多くの患者さんと接触します。

患者さんはそれぞれが性格や背景、環境など様々です。

自分勝手な言い分を通し何でもクレームをつける、いわゆるモンスターペイシェントもいれば、看護師に性的な好奇心を向け平気で身体に触って来る患者もいます。

医師との上下関係が明らかな場合は、パワハラやセクハラも起こりやすいと言えます。

医師と上下関係ではない場合もあるのか?と思われるでしょうが、組織によって医師との関係もずいぶんと違ったものになるからです。

 

話は少し逸れますが、私は看護師になる前は数年クラブのホステスの経験があります。

それが社会の中で人間関係に役に立ったと感じることは多かったです。

看護師と水商売を一緒にするなと怒られるかもしれませんが、私は看護師と水商売は共通する部分が結構あると思っているのです。

どんな相手でも偏見持たず受け入れないといけない仕事であること。

さすがに嫌な相手もいたりしますが、「接待」という感覚で乗り越えられることもありました。

もちろんセクハラされても逆らわないという意味ではないですよ。

適当にあしらい流す技は、水商売の世界で酔客を相手に身に着けたものと自覚しています。

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患者からのセクハラは病状の可能性も

患者さんの中には、看護師は自分のお世話係で何をしてもかまわないと思っているかのような非常識な人も確かにいます。

しかし、全ての患者さんが確信犯ではないことも念頭において対処しなければなりません

看護師が他の職種と違うところはそういう視点があることではないでしょうか。

相手は病気で理性が保てなくなっている場合もあります。

たとえば、認知症で、人格が保てているように見えていたとしても、病状により欲求や攻撃性が強調されて出てしまうこともあります。

ネット上で「認知症のセクハラも許せない」という看護師の書き込みを見たことがあります。

ですが、それはセクハラというより「病状」ではないかと感じました。

もっと極端な話をあげると、精神科病棟の夜勤でラウンドをしている時、若い男性患者が女性看護師に自慰行為を手伝って欲しいと願い出ることもあります。

もちろん手伝わないのですが、止めさせるわけでもなく特別な反応もしません。

精神科入院中の若い男性患者の性衝動には理解も注意もどちらも必要です。

いちいち反応せず毅然と対応し、軽蔑したり敵視したりもしません。

普通なら職員に言ってこないようなことをラウンド中の看護師に言ってきたという、やや理性に欠けた言動を病状としてとらえ記録に残します。

精神疾患で病状が悪くなると性的な症状が表に出るのは女性患者にもよく見られます。

男性看護師の前で裸になって誘惑したり、診察室で医師の前でいきなり服を脱いだりすることもあります。

精神科は特殊と思われるかもしれませんが、看護師は患者のセクハラに対して医療の専門としての目を持つことも必要だと思います。

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セクハラは1人で抱え込まない

事業主はセクハラへの対策をしなければならないという法的義務があります。

ですので、遠慮なく上司に相談しましょう。

上司がセクハラしている本人であれば、その上の上司に相談しましょう。

近年、職場によっては専用窓口も設けてあるところもあり、大きな組織であれば労働組合やそのような問題を取り扱う部門があるはずです。

そして、まずはセクハラをしている本人に事情を聞いて注意をするという対応になるようです。

しかし内容が深刻であるとか繰り返す場合は処分ということになります。

千葉のセクハラ医師は処分されていますので、ニュースの文面ではわからない深刻な内容だったのかもしれません。

ただ、これが個人経営で少人数の組織の場合は、内部だけで問題を処理するのは難しいと思います。

自治体によっては労働基準監督署などの外部の組織にそのような窓口が設けてあることがあるようですが、セクハラは介入できないという意見も。

それでも、労働基準監督署は一応話は聞いてくれますので、そこから相談機関に繋いでもらうとよいと思います。

セクハラ問題に慣れている弁護士も今は見つけやすく、最終的にはそれが確実です。

いずれの場合も、うやむやにせず解決したいという本人の強い思いが必要です。

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まとめ

何でもかんでも「セクハラ!」と過剰反応する傾向もどうかとは思いますが、辛くて追い詰められているのに我慢している必要もありません。

今の時代、他者への迂闊な言動は性別にかかわらずお互いに気を付けるべきでしょう。

また、患者さんに対しては医療者としての観察眼も必要と思います。

そしてトラブルに発展させないコミュニケーションスキルを磨くことも大事なのではないかと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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