最近のナースの制服は、昔とずいぶん違っています。
何より「ナースキャップがない」これが一番大きな変化ではないでしょうか?
でもナースコスプレなどを見ると、相変わらずナースキャップはついているようです。
世間ではナースキャップが廃止されたことに気づいてないのか、それともやはり今でもシンボルマークなのか?
今はナースキャップなしのパンツスタイルが標準です。
今日は、すでに懐かしい存在になってしまったナースキャップの話なので、よろしかったらお付き合い下さい。(^-^)
ナースキャップのナースはもう見られない?
ほとんどの大きな病院では、もうナースキャップスタイルは見ることができません。
そもそもナースキャップは何の為にあったのでしょう?
これは、修道女のベールが原型になっているそうです。
ナースの歴史は中世に遡ります。
当時は病人の看護に修道女が当たっていたことから、後々のナースの白衣もその影響を受け、修道女を表すようなデザインになったようです。
ナイチンゲールの写真などを見ると、ロング丈でドレスとも言えるようなたっぷりとした長袖ワンピース、エプロン、そして可愛い帽子をかぶっています。
帽子の形は進化して小さなナースキャップに変わりましたが、ナースの制服にはなくてはならないものになりました。
ところが、そんな歴史のあったナースキャップも時代と共にだんだんと邪魔(?)な存在になって行きます。
「ナースキャップの廃止」という思いきったことを、最初に始めたのはどこの病院でしょう?
情報ソースは探せなかったのですが、おそらく聖路加病院ではなかったかな?と記憶してます。
廃止の理由はナースキャップが汚いことにある
ナースの象徴として誇らしいナースキャップだったのに、急に汚いという話になり、それも悲しくはあります。
でも、廃止になった理由の一つは「キャップが不衛生で感染源になりかねない」つまり言ってしまえば汚いということでした。
それ以外にも下のような理由があります。
- キャップが医療器具などに引っかかったり患者に当たるなどして危険
- 着脱が非効率的
- 動きづらい
- 男性看護師が増えたにもかかわらず女性だけがナースキャップを着用するのはおかしい
このような理由で、キャップ廃止の声が少しずつ広がっていくことになります。
女性だけがナースキャップを・・・という理由については、やや強い意味での「差別的である」というものだったようです。
確かにナースキャップは汚いかもしれません。
もちろん定期的にクリーニングには出すのですが、汚れが目立つものではないので、はっきり言って白衣ほど頻繁に出してはなかったのが現実です。
白衣の汚れには敏感になりますが、ナースキャップは「帽子」という位置付けなのでそれほど汚れを意識していませんでした。
ナースキャップは無造作にその辺に置かれていることも多かったし、休憩時間にはずして、仕事に戻る時には着け直したりと、結構手でベタベタと触ってもいます。
汚いということを指摘されると「確かにそうかも」と納得できる部分は多かったです。
機能面でも、正直に言えば鬱陶しいものでした。
頭上のキャップまで責任が持てなくて、どこかにぶつけて、そのたびにピンがずれて・・ということは多かったです。
そんな理由で、キャップは廃止になっていきます。
でも廃止は、日本全国一斉に行われたわけではありません。
キャップ廃止について、とある民間病院で検討された資料をネット上で目にしたことがありますが、それは平成14年の日付でしたので、もうずいぶん昔からこの案はあちこちで出ていたということになります。
早期にキャップ廃止を検討し、思い切って導入した病院もある一方、地方の病院などでは、ようやく廃止になったところもあるようです。
そして2018年の時点でもナースキャップを存続させている病院はあるようです。
合理的に考えれば不要なものであっても、ナースキャップを尊重する思いは看護師の中にも強く、廃止の検討も慎重にされていったと思われます。
戴帽式や可愛いキャップピンのおしゃれも今は昔
戴帽式(たいぼうしき)
戴帽式は、看護学校でもっとも心に残るセレモニーでした。
それぞれの学生が、これから進む道への誓いを心に刻む美しい儀式です。
まさかこれもナースキャップ廃止の流れの中でなくなっているとは、私は思いもしませんでした。
この厳かな式典は、臨床実習に出る前に行われます。
日本における最初の戴帽式は1920年、聖路加病院付属看護学校の開設と共に始まったものです。
戴帽式は、基礎の座学を終え、「あなたはもう臨床に出ても良いですよ」という証明と責任をナースキャップという形で受け取る式典です。
ナースキャップを許された学生たちは、臨床実習へと羽ばたきます。
ナースキャップは看護学生の憧れであり目標だったのです。
この戴帽式、とっても感動的で本当にきれいな儀式なのです。
キリスト教の色が濃く、とても神聖な雰囲気で行われるのです。
1人ずつナースキャップを着けてもらい、キャンドルに火を灯し、みんなでナイチンゲール誓詞という誓いの言葉を唱和します。
私の戴帽式も、もうずいぶん昔のことになってしまい、書きながらところどころ忘れていますが、ナースに一歩近づいたという感動とか、これからへの決心とか、そんな気持ちでいっぱいだったことは覚えています。
でも、本当は私はナースになりたかったわけではないのですが。
私が看護学校に行った動機は、経済の自立でしたので、憧れや夢があったというのとは違いました。
そんな私でも、戴帽式は身が引き締まる思いでした。
現実にナースキャップを廃止しても、戴帽式はナースのセレモニーとして残るだろうと思っていました。
だからこれも一緒に廃止になってしまうなんて、正直びっくりです。
もちろん他の形でセレモニーを残している学校もあるようです。
ただ、必ずしも戴帽式という形式ではなさそうです。
実際にナースキャップは廃止されたので、キャップはナースの象徴ではないのですが、せめて戴帽式くらい残しても良いのにと思います。
あの儀式を経験して嫌だと思う学生は、多分いないと思うのですが。
ナースキャップピン
キャップがないのが当たり前の中でデビューした若いナースは、キャップピンなんてものはお呼びでなく、それが何なのかも知らないでしょう。
キャップを組み立てまとめ、固定している小さいピンバッジのことです。
ナースキャップをコンパクトに、そして形よく組み立てることはこだわりであり、そして可愛いピンで止めるのがナースのおしゃれの1つでした。
キャップのまとめ方には、その病院ごとのルールみたいなものもありましたし、その中で可愛く作るコツもありました。
臨床実習の間は、看護学校のマークが入ったピンを大切に使っていました。
晴れて一人前のナースになりキャップのアレンジもうまくなると、可愛いピンを集めたりしました。
飾りピンをいっぱい着けているナースもいました。
後ろ姿を見てそのピンで誰なのかがわかるというようなトレードマークになっていたりもしました。
当時、白衣もまだワンピースで、白いストッキングに白いサンダルでした。
私は長い髪をまとめてお団子にしていましたが、ちょうどナースキャップがそれにかぶさり都合が良かったです。
そういうスタイルのナースはたくさんいました。
それはナースの王道というような清楚で可愛いスタイルでした。
コスプレでは愛されている?ナースキャップよ永遠に!
先日、ナースコスプレで話題になった有名人の情報をネットで調べていて、「ナースコスプレ」と検索してみました。
そしたら、出るわ出るわのコスプレ衣装の通販。
ナースはわかりやすいコスチュームなので、たしかにコスプレでは人気です。
通販のコスプレ衣装の中には、可愛いだけでなくてきわどいものもあるので、世間のナースへの期待やイメージがよくわかると言うか、いろんな意味で幅広いことがわかります。
そしてナースのコスプレ衣装は、やっぱりワンピースにナースキャップという組み合わせなのです。
パンツスタイルでキャップなしだと、確かにインパクトに欠けて何のコスプレかもわかりづらいのでしょう。
コスプレ業界では、いまだにナースキャップが愛されています。
コスプレではナースキャップはなくならないのではないかと思います。
リアルナースは全く違う服装なのに、コスプレナースは古き良き時代のままです。
ナースキャップは、コスプレーヤーの間で永遠に保存されていくのでしょう。
キャップがある時は、それをはずすと全身のバランスが悪くなり変な恰好と誰もが笑ったものです。
キャップをはずしたままは身だしなみが悪く「きちんとキャップを着けなさい!」と怒られたりもしたものです。
価値観の変化って面白いですね。
まとめ
ナースキャップを着けなくなってから、もう結構長くなりすっかり違和感もなくなりました。
キャップがない方がはるかに動きやすく機能的です。
でも時々、あのレトロな可愛らしさが懐かしいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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