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引きこもりの孫の手にかけられた祖母 犠牲者5人惨劇はなぜ?  

社会・メディア
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鹿児島県で親族と近隣者合わせて5人が被害者になる事件があり、その家の住人の孫にあたる男が逮捕されました。

親族を次々と手にかけ、頼まれて様子を見に来た顔見知りの人まで事件に巻き込んだこの男は、近隣住人の証言によれば長期に渡り引きこもりだったようです。

何があってこのような惨劇を起こしたのか考察してみたいと思いますので、よろしければお付き合い下さい。

 

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鹿児島県日置市・5人殺人事件の概要

事件の現場は鹿児島県日置市の民家で、この家に住んでいたのはHさん(89歳)とその次男(68歳)。

逮捕されたのは、その近所のアパート(Hさん所有)に住む、Hさんの孫で次男の息子にあたる男(38歳)でした。

 

事件が発覚したきっかけは、2018年4月6日、日置市外に住む長男の元に、次男の勤務先から、次男が無断欠勤していることを知らせる電話があったこと。

長男はその時、自分が鹿児島県外に出ていた為に、様子を見に行って欲しいと自分の妻(67歳)に依頼します。

長男の妻は自分の実姉(72歳)を伴って、久子さん宅まで様子を見に出向きますが、そのまま連絡が途絶えます。

不審に思った長男は、今度は容疑者が住むアパートの住人で、知人でもある男性(45歳)に連絡し、様子を見に行って欲しいと依頼します。

しかしその男性とも連絡が途絶えたために、長男は警察に通報。

通報を受けた警察が、同日午後3時45分頃この家を訪れ、3人の遺体を発見したことで事件が発覚しました。

この時、発見されたのは長男の妻とその姉、知人男性であり、住人の久子さんと次男は行方不明。

 

しかし事件は急展開し、市内で発見された久子さんの孫(38歳)が事情聴取で3人の殺害を自供、祖母と父親も自分が手にかけ山中に遺棄したことを話した為に、まもなく埋められていた2遺体が発見されました。

次男は4月4日から出勤していないとのこと。

この時点で、すでに亡くなっていたということになると思います。

 

容疑者の優秀な子供時代

容疑者は、今回の現場になった祖母宅近くの小学校、中学校出身で、高校はこの地域で有名な進学校に進学。

当時は成績がよく頭のいい生徒として同級生たちにも認識されていた様子ですが、このような事件でよく言われる「おとなしくて目立たない」学生時代だったようです。

生徒会活動もしていたとのことで、真面目な生徒だったということは想像できます。

しかし、高校生の時に暴力事件を起こし、高校を自主退学しています。

暴力事件の内容はわかりませんが、退学するようなことなので喧嘩などのレベルではないかもしれません。

人との交流もなさそうなので、非行に走ってという種類ではないと勝手に想像します。

その頃から容疑者の内面に何か変化が現れ始めていたのではないかと推測します。

 

引きこもりは高校退学後より始まる

容疑者は、友人関係も希薄だったようで、高校中退後より引きこもり傾向にあったようです。

両親は、20年ほど前に離婚されているらしいので、引きこもりはちょうどその頃と重なります。

容疑者は母親側に付いて行っていたようです。

 

高校中退後、運送会社に就職したとあるのですが続いてはなさそうです。

また、22歳の時に陸上自衛隊に入隊もしましたが、1年で自主退職しています。

他者や社会とはうまく折り合えなかったのではないでしょうか。

しかし働こうとしただけでも、その精神は今より健全だったと言えるかもしれません。

それなのに仕事も高校生活と同様でうまくはいきませんでした。

それは容疑者の挫折感を深める要因にもなったのではないかと思います。

 

近隣からの苦情があり現在のアパートに

自衛隊を辞めて再び母親と暮らしていた容疑者ですが、家で大声で叫んだり木刀を振り回すなどして暴れていたようで、近隣から「怖い」という苦情があがっていたそうです。

母親と容疑者の関係が良好だったのかはわかりませんが、母親の手に負えなくなり、容疑者は父親と祖母に引き取られます。

事件現場の家でしばらく3人で暮らしましたが、数年前に祖母所有のアパートに単身で住まわせることにしたようです。

母と同様、ここでも同居はうまくいかなかったのでしょう。

 

離婚し、容疑者ももう成人していたわけですが、このような相談が可能だったことで母親は結果的に難を逃れたことになります。

 

祖母所有の古いアパートの住人は、容疑者と今回の被害者の1人である46歳の男性だけでした。

このアパートの住人の男性は周囲の評判も良く、その一方で容疑者の姿は近所でもあまり見かけられていません。

父親に生活費をもらって暮らしていたようですが、ほとんど部屋に引きこもりだったのではないかと思います。

 

しかし、不可解な行動が近所の人に目撃されています。

アパート敷地内で、鉄の棒を一人で振り回していた姿がとても怖かったので、目が合わないようにしていたと近所の人が証言しています。

アパートのもう一人の住人男性もそれを目撃しており、恐怖を感じて警察に相談もしていました。

相談を受けた警察が、直接本人に職務質問などしてもいますが、棒を振り回すのは運動と答えたそうで、警察もそれ以上介入はできませんでした。

警察も何か起こらないと止めさせることができないのが現実ですが、何か案はなかったのでしょうか。

近所でこのような人がいた場合はどうしたらよいのでしょう?

あえて物を壊してもらって器物破損で通報するとか、そんなことしか思い浮かびません。

 

祖母・父・本人の関係

祖母・Hさんの夫、つまり容疑者の祖父は開業医だったようで、数十年前にすでに他界しています。

引きこもりの容疑者の暮らしの面倒をみることができたのは、経済的に豊かだったのでしょう。

容疑者が運送会社に就職した時には、祖母が通勤用として軽自動車を譲っています。

祖母は社交的で明るいと評判の方ですが、孫を可愛がる普通のおばあちゃんだったのでは?

容疑者の父親も、人付き合いは上手ではなかったようですが優しく真面目な人で、Hさんとの関係も良く、離婚後は家事全般とHさんの世話を次男がこなしていたそうです。

 

祖母は孫についての悩みを自身の友人に打ち明けています。

孫が粗暴でキレやすいことや引きこもりで仕事をしないこと、孫に貴重品を盗まれるというようなことです。

祖母も、引きこもりの孫を何とかしなければいけないと考えていたのです。

容疑者は、動機について、「祖母からいろいろ注意されてうるさかった」と自供しているようですが、そんな理由だけで5人も手にかけられるでしょうか。

実は本人が一番この引きこもりの状況に限界を感じていたのかもしれません。

しかし今更仕事をする自信もなく、それでいてプライドだけは高そうに感じました。

祖母から指摘されることはきっと核心を突いていて、それに耐えられなかったのかもしれません。

 

この事件に精神疾患の関係は考えられるか?

この容疑者は暴力的であり、長期引きこもりでしたが、精神病はあったのでしょうか?

病気の症状で幻覚や妄想に支配され、その恐怖で混乱して攻撃的になり事件を起こす例も確かにあります。

しかしこの容疑者の行動はいたって冷静で、残酷ですが支離滅裂ではないです。

2人も自分で車を使って山中に運び穴を掘って埋めて隠すなど、とてもまとまりのある計画的な行動です。

そして、父親が無断欠勤したことを心配して訪問してきたシルバー人材センターの職員に、父親が不在である言い訳までして発覚を隠す偽装もしています。

様子を見に来た親族や知人のことも、無差別にではなく1人ずつ手にかけています。

 

つまり論理的思考ができるということだと思います。

暴力的な症状や社会性が欠けることは精神科の患者さんに多い問題ではあるけど、社会性の欠落や暴力が全て精神障害ではありません。

この容疑者は人格障害による思考の歪みはありそうで、それもある種類の精神病ではあるけど、十分に責任能力のある状態だったと思います。

 

成育歴の詳細はわかりませんが、両親が離婚している人など山ほどいます。

比較的豊かな家庭だったはずだし、この年まで何不自由なく、生活のお膳立ては家族がしてくれたのに逆恨みもいいところで、容疑者に同情すべき点は1つもないです。

猟奇的で残虐な事件を犯してしまう犯人は、元々、脳の前頭葉に問題があるなど脳の構造が一般の人と異なり、良心というものを持ち合わせてないとはよく言われる話です。

この容疑者も、暴力的な面が顏を出し始めた思春期の頃に、何か対策を考えることができればまだ何とかなったのでしょうか。

今となっては、わけもわからずに犠牲になった5人がただ気の毒としか言いようがありません。

 

まとめ

次男の無断欠勤を受けて、この家に様子を見に行くよう依頼をした長男の精神状態もとても心配になります。

引きこもりでいろいろ問題があると言ってもまさか自分の甥が、親族と知人5人も帰らぬ人になるなど、そんなことは想定もしなかったでしょう。

犠牲になった方々も、勝手知ったる家だったはず、そんな危険を考えて訪問はしなかったでしょう。

亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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